年齢と感情

僕は大人になるともっと心は落ち着くものだと思っていた。事実、20代の中盤まではそうだった。落ち着く、というより色々なことに慣れていった、ということが正しいだろう。

しかしある事件を契機に変わる。大きなプレッシャーの中、心が壊れ、世界から色が無くなり、すべての希望が失われたかのような絶望感に捉われる、目の前に大きな黒い穴が開いてすべての光が飲まれていく感覚。全身から冷や汗が吹き出し、肌はジリジリと焼かれている感覚で、吐き気がこみあげてくる。
頭では理解している「これは僕の中の一部の事象であって、死につながる事件でもない。せいぜいこの世界の1人からめんどくさいやつと思われるだけだ」ちゃんとわかっている。それなのに、その黒い穴はそれ以外のすべての光を飲み込んでいくのだ。家族からの愛も友人の励ましもこの仕事以外からの社会からの承認も全て!

その事件から、感情の制御が利かなくなった。若いころの方がよっぽどコントロールできていたと思う。すべての大人はそうなのだろうか?それとも自分はあの事件があったからこんな感覚になっているのだろうか?他の人は自分が20代の半ばまで順調にコントロールできていた延長に居て、より強いストレス耐性を身に付けているのだろうか?

今日は朝から少し過敏なのはわかっていた。ただ1つのメールでここまで揺さぶられるとは。メールの内容ではないことは明らかにわかる。反射的にそれをプレッシャーと捉え身体が反応した。
安定剤を飲んでどうにかこうにか落ち着きを取り戻す。ただ、少しまだ洗面器の中の水が地震の後に揺れているように、こころに揺らめきがある。パニック障害という病気であることは最大の理由だが大人になるにつれて色々な経験をし、いろいろなことは過去の経験とその時の感情に結びつくことがあるのではないかと思う。多くの悲しみを知っていれば、ささいな出来事からも感情を引き出してしまう。大人が涙もろいのはそういうことがあるからなのかもしれない。